こんにちは。
今日はこの本を読んだので感想を書いて行こうかと思います。
きっかけはやはり表紙に惹かれて買いました。
この何もない海に男女が2人ってよくないですか?僕は好きです。
感想を書く前にあらすじを
外と断絶した、閉じた夏休み。そこに、ぼくたちは生きていた。
近所に住む小5女子の城ヶ崎君は、朝から鯨を見に海へ行こうと誘ってくる、行動力だけで生きているような少女だ。そんな彼女に言われるがまま、一緒に海へ向かう高2のぼく。11歳と17歳、恋愛、ではないと思う。2人で過ごすいつもの夏の水曜日。こんな穏やかな日々がずっと続けばいいのに──。
夏の朝、目が覚めたらいつものように鏡の前で情報整理。「海野幸、十七歳、性別女性、二年C組、両親は健在──」顔にかかる髪を払い、ぼくを私に切り替える。曜日を確かめると水曜日。さぁ、今回も三日くらいがんばろう──。
そして城ヶ崎君は宣言する。「この世界を破壊したい」と。
閉ざされた海辺の街で、ぼくと彼女は今日も出会う。
(引用元:電撃文庫の書籍情報)
これ見ると少しラブコメ感ありますよね、ない?いや作者さんがこれはラブコメと言ってるのでラブコメです多分。
この閉鎖感にたまらなく惹かれたのですよね。
主人公達が過ごしているのは海野幸という少女の心の中に創られた世界で、主人公達は所謂多重人格のうちの1つのようなものです。主人公に名前は無く主に絡みのある少女は城ヶ崎くんと言い女の子なのにくん付けという不思議な呼び名の子です。
世界の中身は細部まで作られており、建物の位置などは違うものの海野幸が見てきた風景がごちゃ混ぜになって作られていて、人格達はそこで普通の生活を送っています。それぞれお小遣いみたいなのもあって創られた世界なのに結構シビアです。
そして時々その人格が表に出て海野幸になり約3日過ごす、というのがここのルールらしい
なので海野幸は3日で人格が入れ替わる所謂やべーやつみたいな人ってことですね、友人できるのでしょうかと心配しましたが彼女にも作中で分かる範囲で1人いるんです、すごく適当な子が。
本人の性格も恐らく歪んでいるのもあってそういう子だから海野幸と一緒にいられるんだろうなって思います。
この作品を読んだ感想は、海野幸の無責任さが大きく現れているのかな、と思います。
というのも彼女はもう誰が主人格でもいいと思って生きているのです。生きるという生き物である責任を既に放棄している。
そして終いには主人公にそれを全部押し付けてしまいます。
海野幸であり海野幸ではない人格が最終的に主人格となり生活するのがこの作品の結末です。
海野幸は私の代わりに生きてくれる人格を作り上げようとしたのかなと思ってます。
海野幸の中で死んだら海野幸の主人格として表に出るというのもそういうことなのかなって
主人公はまんまとその思惑にハマり、海野幸を幸せにしてあげたい、現実に失望している彼女の代わりに生きたいと思ってしまうわけです。
一見ハッピーエンドにも見えますがこのお話は個人的にBADENDだと思ってます。
本当に物語がハッピーエンドを迎えるとすればそれは海野幸自身が表で生きていく事かと。
これは読む人によって別れるとは思います。
生きたい人格が生きればいいじゃんってのもなんとなくわかりますし。
だから最後城ヶ崎くんは主人公を見送ったのだと思います。鯨も役目を終えたかのごとく消えましたし。
城ヶ崎くんがその後どうしたのかなど気になりますが、そこはハッキリ描かれていないので想像で楽しむことにします。
大満足の1冊でした。
良かったら読んでみてください!